包含関係を理解して、体系的に物事を捉えるべし!

ロジカルシンキング

「りんご」は「果物」という集合体の一部です。
「女性」は「人」という集合体の一部です。
「お笑い」は「エンターテインメント」という集合体の一部です。
「枕」はどうでしょう?
「ペットボトル」はどうでしょう?
このような、ある集合体の一部である。という関係を包含関係と言います。

これらの例を見て感じていただけたかと思いますが、簡単な例で考えると、包含関係というのはどういったものなのかを理解することは難しくありません。
しかし、今まで包含関係という考え方を意識してこなかった人にとって、「枕」はどのような集合体の一部で、「枕」はどのような集合体を内包しているか。を考えてみようと思った時に、少し想像がつかない方もいるのではないでしょうか?

包含関係はとても大切な考え方ではありますが、正直これ単独では価値を実感しにくい考え方に思えるかもしれません。
包含関係を理解する一番のメリットは、体系的に物事を考えられるようになることです。
ロジカルシンキングにおける強力な武器の一つにロジックツリーがあります。
ロジックツリーの中でも、物事を分類し体系的に捉えるための「Whatツリー」が上手く作れない方は、包含関係の理解が必要です。

本記事では包含関係とは何か、包含関係を考える上での注意点について考えていきましょう。

包含関係とは

冒頭でも紹介したように、「りんご」は「果物」という集合体の一部である。この時、「りんご」と「果物」は包含関係にある。と言えます。
包含関係を考える上で大切な観点が「抽象と具体」になります。
「ジョナゴールド」は「りんご」という集合体の一部ですし、「果物」は「食べ物」という集合体の一部でもあります。
この例は「抽象と具体 ~目的と手段~」の記事でも紹介しました。

「抽象と具体」は様々な考え方に応用することができますが、その中でも「グルーピング」「カテゴライズ」の考え方に応用したものが、包含関係になります。

さて、「りんご」は「果物」という集合体の一部である。というのは、皆さん直感的に納得いただける事柄だと思いますが、そこにどのようなロジック(論理)があるかはわかりますでしょうか?

「果物」は「りんご」「梨」「みかん」などを抽象化した概念です。
これらの共通点を抽出して「果物」という名前をつけています。

果物の定義は見方によって変わるものではありますが、ここではざっくり「木になる植物性食品」であると定義しましょう。
りんご、梨、みかんは「木になる植物性食品」であるという共通点を元に「果物」というカテゴリの中に収まっているわけです。
つまり、おのずと他の「木になる植物性食品」という属性を持つものも「果物」であると判断できます。
この、同じ共通点であるものを、集合体としてグルーピングすることを抽象化と言います。
そしてグルーピングによってできた「果物」に対して「りんご」や「梨」の関係が包含関係なのです。

包含関係を考える注意点

グルーピング。種類ごとに分けることなのだと考えれば、そう難しいことではありませんよね。
ただし、この包含関係という考え方を、冒頭で説明したようなロジックツリーなどに応用するためには、3つの注意点があります。
・集合体という考え方で物事を捉えよ
・集合体が属するのは一つの集合体とは限らない
・最小公倍数で考えよ

集合体という考え方で物事を捉えよ

包含関係を考える上で「抽象と具体」の考え方が大切なのだとお伝えしました。
「抽象と具体」の関係でもあるということは、包含関係は相対的なものであると言えます。

「りんご」は別の何かから見れば抽象的で、さらに別の何かから見れば具体的かもしれないのです。
「今日私が朝食に食べたりんご」のような世界に一つだけのりんごを指して、初めてそれより具体的なりんごはない。と言えます。(このりんごをもっと具体的に説明することはできますが)

つまり世界にたった一つだけのものであると、特定しない限り、思考上のあらゆるものは集合体なのです。
そして、あらゆるものが集合体なのだとしたら、その集合体をさらに外から包み込むような集合体も幾重にも重なっているのです。

この相対的な関係を積み重ねていき、こちらの図のように系統付けたものを体系的であると言います。
今回の例でいくと、ロジックツリーはまさしく、食べ物を体系的に分解する作業であると言えます。



このように体系的に考えた場合、ジョナゴールドや紅玉は、りんごでもあり、果物でもあり、植物性食品でもあり、食べ物でもある訳です。
下位の概念は、上位の概念の特徴を全て持っています

冒頭でも説明したように、包含関係という考え方を身につける最も大きなメリットは、体系的に物事を考えることができるようになることです。

集合体が属するのは一つの集合体とは限らない

さて、ここまでくどいくらいに「りんご」は「果物」の一部である。と散々申してきましたが、「りんご」は決して「果物」だけのものではありません。
もちろん学問的に見れば、あらゆる生物は既にグルーピングがされており、一般的に正しい解。というのは既に出ています。
しかし、やはり「抽象と具体」で考えれば、りんごは他のグループにも属すことができるのです。

りんごを無理やり抽象化してみます。
手順としては、りんごの特徴をいくつか挙げてみます。
「甘い」「酸っぱい」「赤い」「丸い」
この時点で強引に抽象化(グルーピング)するなら、「甘いもの」や「赤いもの」というグルーピングが可能です。
また、とても有効な切り口として、目的別にグルーピングする。ということができるようになると良いでしょう。

りんごは食事のための料理に使うよりも、そのまま食べたり、お菓子作りの材料になることが多いと思います。
りんごを目的(用途)で抽象化するなら、食事中というよりも、食後に食べるための「デザート」という枠に収めることができそうです。
このように、切り口や見方を変えれば、直感で考えるのとは別の集合体の一部で考えることもできます。

最小公倍数で考えよ

最小公倍数で考える、つまり、抽象と具体の階段を1段ずつ登り降りせよ。ということです。
「りんご」をいきなり「食べ物」と考えたり「コーラ」をいきなり「飲み物」と考えてしまうと、間に存在するグルーピングを全てすっ飛ばしてしまうことになりますよね。
既にお見せした図のように体系的に考える上で、階段を1段飛ばし、2段飛ばしするような考え方をしては、上手なグルーピングはできません。

とはいえ、最初から確実に1段ずつ登り降りするには無理な話です。
大切なことは、常に自分が一段飛ばしをしていないだろうか。と考えることです。

コーラ>炭酸飲料>飲み物 このようにグルーピングした時。間に入るものがないかを見直すのです。
この場合は、炭酸飲料と飲み物の間にソフトドリンクを入れることができそうです。専門的な観点があれば、コーラと炭酸飲料の間にもグルーピングを作れるかもしれませんね。

また、別の切り口を考える時も、抽象と具体の階段を気にするべきです。
先ほど、「りんご」は「デザート」としても分類できると考えましたが、もしかしたらその上位の概念「果物」がデザートという分類だから、「りんご」もその特徴を持っているだけかもしれません。

まとめ

最後に、冒頭の答え合わせを兼ねて、実践してみましょう。
「枕」はどのような集合体に属しているでしょうか?
もちろん直感でこれかな?という答えが出ている人もいるでしょうが、枕の特徴を抽象化して、分類を考えてみましょう。
どの特徴を取り上げるかを考える上で、一番使う頻度の高い切り口「使用目的」で考えるのが良いでしょう。

枕はざっくり言うと「睡眠のため」に使用しますよね。
この「睡眠のため」と同じ特徴を持ったものたちを集めると、ベッド、毛布、掛け布団などが挙げられます。
これらを総称して「寝具」と呼ばれていますね。
このように、ある特徴を取り上げて、同じ特徴を持つもの同士の概念を考えることでグルーピングが可能です。
そして必ずしも既に名前のある概念である必要は全くありません。

さて、同じように「ペットボトル」に関しても考えてみましょう。
用途で考えるなら「容器」でしょうか。
しかし、「容器」では階段を飛ばしてしまった気がします。
こういった場合は、もう少し用途を絞ったり、機能、材質、形状と言った別の属性で分類を試みてみましょう。
私の知識ではふさわしい名前の分類はできそうにありませんが「液体用樹脂製容器」といったところでしょうか?
切り分け方によっては「液体用」とする必要はないですし、他の機能に着眼すれば「蓋付き樹脂製容器」のような分類もできそうです。
これが、一つの集合体に属しているとは限らないという点ですね。

いかがでしたでしょうか?
包含関係は、ロジックツリーを考える時に必須の考え方です。
ロジックツリーよくわからないな。と思ったら、改めて学んでみてください。

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