【ロジックツリー基礎】3つの使い所とメリットを具体例で紹介

ロジカルシンキング
・ロジックツリーの基礎を学びたい
・本やネットで学んだけど、実践できる気がしない
・結局のところ、使い所がわからない

ロジックツリーは、ロジカルシンキングの中でも強力なツールです。

何故、ロジックツリーが強力なツールかと言うと、問題解決のステップを考えればわかります。

基本的な問題解決のステップは以下の4つ

1.何が問題かを定義する。
2.問題がどこで起こっているか特定する。
3.問題の原因を究明する。
4.解決方法を考え、実行する。

この内、場所,原因,解決策の3ステップでロジックツリーが活躍するのです。

ロジックツリーは、ロジカルシンキングを学ぶ上では欠かせないツールなのですが、実際に活用できる人は本当に限られています。

この記事では、ロジックツリーを実践するのに必要な要素をお伝えし、ロジックツリーの種類と使い所を、具体例を使って紹介しています。

この記事を読めば、必要な前提知識と、ロジックツリーの基礎を理解できます。

ロジックツリーとは、MECEに具体化するツール

ロジックツリーはMECE(漏れなくダブりなく)を意識して、上位概念を下位概念に分解していくツールです。
ロジックツリーを全く知らない人が聞いたら、なんのこっちゃ。と思ってしまうような説明なので、まずは例を見てみましょう。
「食品」を私なりにロジックツリーにしたものが以下のものです



このように「食品」という抽象的な概念を、一段ずつ網羅的に具体化する考え方です。
ロジックツリーにおいて大切なポイントは「MECE」に考えることです。

MECEは「漏れなくダブりなく」と言う意味です。
別記事で詳しく紹介してるので参考にしてください。MECEについて

上の例で説明すると「食品」をMECEに分類した結果が「動物性食品」と「植物性食品」になります。
食品の中に動物性でも植物性でもないものはない。と私は考えました。これが「漏れなし」です。
食品の中に、動物性でもあり植物性でもある。というものは存在しないと私は考えました。これが「ダブりなし」です。
この両方の条件を満たした分解を繰り返して一段ずつ具体化していくことで、ロジックツリーが完成します。

私は食品の専門家ではないので、もしかしたら間違っているかもしれませんが、どのロジックツリーでも完璧なMECEである必要はありません。

今回の例で言うと、人工的に作られたお肉は動物性とも植物性とも言えないのかもしれません。しかし「かなりマイナーなその他」は考慮する必要がないことが多い。ということもポイントです。
可能性の見落としを防止するために、人工的に作られたお肉は、何に属するのだろう?と気づくのは大切ですが、それを必ずロジックツリーに盛り込む必要はないと言うことです。

また、MECEの分解はあらゆる切り口で分解することが可能です。
今回は「動物性/植物性」で切り分けましたが、他にも「水産/畜産/農産」といった生産形態や「生鮮食品/加工食品」といった加工の有無のように無数の切り分け方が存在します。
これは目的に応じて、切り分ける必要があります。

ちなみに、この例では野菜のみをさらに一段階分解していますが、目的に応じて、部分的に掘り下げていくこともあります。

ロジックツリーの使い所とメリット

ロジックツリーは、問題解決のために使うものです。

ロジックツリーの使い所は以下の3つです。

・問題がどこで起こっているか特定する
・問題の原因を究明する
・解決方法を考え、実行する

ロジックツリーを使うメリットは以下の3つです。

・可能性を網羅し、見落としを抑制できる
・要素を具体化することで、真因を発見できる
・要素を具体化することで、即アクションが起こせる

今回は「会社の離職率が高いことが問題だ」として、その問題を解決するためのステップを通して、それぞれの使い所でのメリットを確認していきましょう。

問題がどこで起こっているかを特定する

離職率を低減したい。
あなたは何から考えますか?

何か問題が起こった時、解決策をいきなり考えたり、原因をいきなり考えたりすると、遠回りをしてしまうことがあります。
問題を解決しようと思ったら、まず初めに、どこに問題があるかを確認するべきです。

会社の離職率が高いことが問題なのであれば、会社のどういった部署で、あるいはどの地域で離職率が高いのかを調べることが重要です。
この時に使用するロジックツリーを「Whatツリー」と言います。
Whatツリーは、食品を分解した例のような、グルーピングによる分解でできるツリーです。

Whatツリーで大切なポイントは「抽象と具体」の関係が「包含関係」になっていることです。
包含関係は「品質管理課は管理本部の一部である」のように、AはBの一部である。という関係を指します。
別記事で詳しく紹介してるので参考にしてください。包含関係について

会社組織を部署毎に切り分けて、Whatツリーを作成してみます。



このように大きく切り分けて、傾向を確認したら、怪しい部分を深堀りしていきます。
MECEに分解していくことで、可能性を網羅し、見落としを抑制できます。

もしあなたが離職率の高い職場を探す時に「難しそうだし製品設計部かな?」「ノルマとか厳しそうだし営業部かな?」という絨毯爆撃のような探し方をしていては中々見つかりません。

可能性を抽象的な部分から網羅してデータと比較することで、素早く傾向を確認でき、どこで問題が起こっているかを特定できるでしょう。
今回の例だと、部毎に切り分けた段階で、どの部が離職率が高いかを確認します。
もし高い傾向を確認したら、良い切り分け方ができているので、そこを重点的に深掘りしていきます。

もし切り分けても傾向が見つけられない場合、ふさわしい切り口でないかもしれません。
その時は別の切り口、例えば地域別、製作所別といった観点や「どこ」を空間的な概念だけで考えるのではなく、離職した人の年齢別、男女別、役職別という観点で切り分けてみることも必要かもしれません。

どこで、どの程度の規模で問題が起きているかを把握できたら、そこで情報を集めます。
この情報を元に、どのような原因が潜んでいるのかを考えるのです。

問題の原因を究明する

どうやら全社的に見ると、品質保証部での離職率が特に高いようです。
「ヨシ、品質保証部の給料を見直してあげよう、責任者を変えてみよう」こんな感じでいきなり解決策を考えては行けませんよ。

次のステップは、原因の究明です。
原因究明に使用するロジックツリーを「Whyツリー」と言います。
Whyツリーは、ある結果の原因を深堀りしていくツリーです。
Whyツリーの目的は、真因を見つけ出し「これを改善すれば解決できる」という課題を形成することです。

Whyツリーで大切なポイントは「抽象と具体」の関係が「因果関係」になっていることです。
因果関係は「頑張りが評価されないから人事制度に満足できない」のように、AだからBである。という関係を指します。
別記事で詳しく紹介してるので参考にしてください。因果関係について

「品質保証部の離職率が高いのは何故か」についてWhyツリーを作成してみます。



このようにMECEに切り分けた一つ一つの原因に対して「原因の原因」を考えて、具体的に掘り下げていくのです。
これによって、クリティカルな原因を発見できます。

今回の例で言えば

「この会社では、結果を評価し、プロセスを評価する仕組みがない。
 その上、品質管理部では品質問題は0が当たり前とされており、プラスの結果を評価する方法が限られている。
 その結果、人事評価自体に不満を持つ者や、限られた人事評価を奪い合う人間関係に不満を持つ者が辞めていくのではないか」

という仮説が立ちます。

クリティカルな原因、つまり真因を発見することは、解決策を考える上でとても重要なことです。
何故なら「問題が起こったら責任を押し付けあう人間関係、風土が原因だ。これを解決せよ」と言われて、果たして何から手をつけて良いか想像がつきますでしょうか?

上記のような具体的な仮説を得ることで、初めて
「仕事のプロセスを評価することも必要ではないか」
「品質管理部の頑張りがなければ品質問題0はそもそもあり得ないのではないか」
こういった評価項目の見直しや、評価基準の見直しと言った課題が設定できるのです。

ちなみに、トヨタ自動車で採用されているトヨタ生産方式では、真因を見つけ出すために「なぜ」を5回繰り返す「なぜなぜ分析」というフレームがありますが、これはWhyツリーの形式の一つです。

原因を深堀し、クリティカルな原因を発見することで、解決策を考えやすくなる仮説を立てることができます。

解決方法を考え、実行する

問題の真因は「社員の頑張りを評価する仕組み」が十分ではないことである。という仮説を立てました。
ここまで来たら、ようやく解決策の検討を行います。

解決策の検討に使用するロジックツリーを「Howツリー」と言います。
Howツリーは、解決のためのあらゆる手段を深掘りしていくツリーです。

Howツリーの大切なポイントは「抽象と具体」の関係が「目的と手段」の関係になっていることです。
目的と手段は相対的なものです。
「プロセスを評価するために、評価基準を明確にする。評価基準を明確にするためにコンピテンシーモデルを作る」
このように、手段を目的化して、どんどん手段を具体化していきます。
別記事で詳しく紹介してるので参考にしてください。目的と手段について

 

「社員の頑張りを評価する仕組み」についてHowツリーを作成してみます。



(今回はMECEに色分けしていません)
(記事作成者は、人事制度に詳しくはありません)


このように、MECEに切り分けた手段を目的に据えて「手段の手段」を考えて、具体的に掘り下げていくのです。

これによって、具体的に何をすれば良いか迷わずに、即アクションを起こせるような項目に落とし込めます。
一番右の項目は必ず、何から手をつければ良いかわかる程に具体的になるまで掘り下げます。

原因追求では「なぜ?」を繰り返すことで具体化しましたが、解決策の検討では「そのためには?」を繰り返すことで具体化を行います。

ロジックツリーで思考を整理するだけでは何も決められない

ご覧の通り、ロジックツリーはある要素を具体的に掘り下げて、思考を整理するための考え方です。
とても便利な考え方ではありますが、実はロジックツリーを描くだけでは何も判断できないことがあります。

問題の場所を特定するにも、原因を追求するにも、どの解決策を実行するかを決めるにも、必ずデータが必要になってきます。

問題の場所を特定するためには、辞めていった方の所属や年齢、性別、勤続年数等の情報がないと、どこのどのような人が多く辞めているかの傾向が掴めません。
原因追求をするためには、実際に辞めていった人たちがどのような理由で辞めていったのかがわからなければ、納得感のある仮説は生み出せません。
解決策を検討したところで、それぞれの解決策の実現性や期待効果。コストや実現までの必要期間。これらの情報がないと、
どの解決策を採用するか判断できません。

つまり、ロジックツリーはデータと一緒に比較検討してこそ価値が生まれるのです。

まとめ

ロジックツリーは目的に応じて、要素を網羅的に具体化し、思考を整理する考え方です。

ロジックツリーを使いこなすために最低限必要な知識は以下の4つ

・MECE
・包含関係
・因果関係
・目的と手段

ロジックツリーの使い所は主に3つ

・問題の場所を特定する時 Whatツリー
問題の場所を突き止め、そこでデータを集める。

・問題の原因を究明する時 Whyツリー
集めたデータを元に真因を探り、納得感のある仮説を立てる。

・解決策を立案する時   Howツリー
真因を取り除く解決策を検討し、アクションを起こす。

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