【Whatツリー解説】具体例で紹介する効果的な使い方

ロジカルシンキング
・ロジックツリーを理解するのが難しい
・書き方は分かったけど、実践できた試しがない
・ツリーの種類毎に使い分けができない

ロジカルシンキングの中でも、ロジックツリーを実践できるレベルで理解している方はそう多くありません。
ロジックツリーを理解することが難しい要因の最たるものが、使用目的によって形態が変わることにあります。

ロジックツリーは大きく3種類に分けられます。

・Whatツリー:要素分解
・Whyツリー :原因追究
・Howツリー :解決策検討

本記事では、ロジックツリーの形態の一つ「Whatツリー」について、必要な知識と使い所を具体的に紹介します。

ロジックツリーの基礎を知りたい方は、3種のロジックツリーについて紹介している記事がありますので、こちらを参考にしてください。
【ロジックツリー基礎】3つの使い所とメリットを具体例で紹介

Whatツリーとは 要素を網羅的に切り分ける考え方

Whatツリーはロジックツリーの中でも、ある集合体を分類毎に切り分け、1段ずつ具体化する手法です。
例を見てみましょう。
こちらは私が「食品」をWhatツリーにしたものです。



「食品」を「動物性食品」と「植物性食品」という2つの分類に切り分ける。切り分けたものをさらに分類毎に切り分ける。
このように、分類毎に切り分け具体化していくロジックツリーをWhatツリーと言います。

この例を見てピンと来た方もいるかもしれませんが、会社の組織図や、生物分類学的階級(食肉目>ネコ型亜目>ネコ科 等)といった、階層構造を持つ分類は全てWhatツリーで表すことができます。

Whatツリーに必要な知識は「MECE」と「包含関係」

・全てのロジックツリーに共通して必要な知識が「MECE」
・Whatツリーにおいて必要な考え方が「包含関係」

MECE

MECEの意味は漏れなくダブりなくです。

MECEはある要素を切り分けるときに考えます。
先程の例で「食品」を「動物性食品」と「植物性食品」に切り分けました。
どちらにも属していないものがなければ、漏れなしです。
どちらにも属しているものがなければ、ダブりなしです。

MECEに切り分けるコツなど、詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
ロジカルシンキング入門編 MECEを理解しよう

Whatツリーはロジックツリーの中でも、MECEに切り分けた要素が足し算で構成されているのも特徴です。
「動物性食品」と「植物性食品」を足したら「食品」という集合体となるように、MECEの関係に切り分けたものを全て足すことで、一段上の集合体になると言えます。

包含関係

ロジックツリーの中でも、Whatツリーを作るために必要な知識が「包含関係」です。
包含関係は「AはBの一部である」という関係性のことです。

包含関係はWhatツリーにおいて、抽象と具体の関係性です。
「動物性食品」は「食品」の一部である。
「肉」は「動物性食品」の一部である。
このように、Whatツリーでは基本的に、常に「AはBの一部である」という関係性が保たれます。

実践的な包含関係の理解を深めたい方はこちらの記事を参考にしてください。
包含関係を理解して、体系的に物事を捉えるべし!

Whatツリーを左から右に展開した時、縦軸にMECE。横軸に包含関係。が成り立っているかをチェックすると良いでしょう。

Whatツリーの使い所

Whatツリーは体系的に物事を整理する働きがあります。
これによって、見落としを抑制し、必要な部分だけを掘り下げて考えることができるためとても効率的です。

Whatツリーの使い所を2つ紹介します。

・問題の場所を特定する
・多くの選択肢をわかりやすく伝える

問題の場所を特定する

漠然とした問題が発生した時に、何からするべきか。
問題の場所を特定することが必要になってきます。

「家の電気代が高い」という問題があるとしましょう。
これに対して「ドライヤーを使う時間を減らそう」「照明はこまめに消そう」こういった当てずっぽうの解決策を実行したとしても、効果が高い解決策なのかわかりません。
まずは、どこでどれだけ電気代がかかっているかの調査が必要なのです。

今回は一般的に電気代がかかる家電を、費用別にまとめた記事を参考にしました。
参照元



このよう家電を費用別に切り分けることで、どこにメスを入れるべきかの検討が尽きますね。
場所の検討がついたら、それぞれ何故電気代が高いのかの原因を調査すれば、自ずと解決策も検討できるでしょう。

このように、「どこで、どれくらいの問題が起こっている」という現状を把握するために、Whatツリーは効果的です。
種類毎、という切り口だけでなく、値段別や年代別といった、数値別に切り分けることも大変便利ですので覚えておきましょう。

数値で切り分けた時も、もちろん包含関係は維持されています。
「電気代¥10,000かかる家電」も「家電」という集団の一部です。「20代の男性」も「男性」という集団の一部です。

問題とは「もっと利益を上げたい」「もっと早く仕事を完了したい」のような目標とのギャップに対して言います。
つまり、下記のような使い方も有効です。

・会社の売り上げを店舗別、商品ジャンル別等で切り分けて、どこでどれだけ売り上げが下がっているのか。
・仕事を工程別、作業者別、ツール別等で切り分けて、どこでどれだけ時間がかかっているか。

多くの選択肢から何かを選ぶ

見落としを抑制し、必要な部分だけを掘り下げることができるということは、数多くの選択肢から、何かを選ぶ時にも有効です。

例えば、進路について考えるとしましょう。
高校卒業は進学して大学に行こうか、あるいは就職しようか。と悩む方は多いのではないでしょうか?
しかし、この時点で既にいくつかの選択肢を見落としているかもしれません。



このように可能性を網羅的に考えることで、自分の叶えたい目的に対する、最適期な選択肢を見逃さずに済むでしょう。
また、Whatツリーで考えることで、自分の知らない領域に対して気付くことができます。

今回の例で言うと、高校卒業後の進路を何気なく考えた場合「進学か就職か」と考えることが多いのではないでしょうか。
これをWhatツリーで考えようを思った場合、MECEを気にしなければなりませんから「本当に選択肢はこれで全てだろうか?」と疑問に思うことができるはずです。
そこで、インターネットなどで調べれば、他にもこれだけの選択肢があるのだと気付けるのです。

多くの選択肢の中から何かを選ぶと言うのは、ジャンル分けされたものや、商品を選ぶ時にも適応できます。
つまり、下記のような使い方も有効です。

・おすすめの小説を紹介して欲しいと頼まれた。ジャンル別に好みを確認して、最もおすすめの本を紹介する。
・毎日のプロテイン摂取を行うために、プロテインの種類毎に特徴を確認して、最も目的にあったものを選択する。

また、あらかじめ選択肢を洗い出しておくことで、「この選択は間違いだった」と後から気づくことができたり、気づいてから選び直したりすることができます。

実際にやりたかった業界に就職してみたものの、チームで協業したり、決められたやり方で仕事を進めるのはどうしても合わない。と感じたら、自分は仕事ができない人間だと考えるのではなく、就職をするという選択肢が間違っていたのかもしれない。と考えることができるかもしれません。
その場合、独立してフリーランスや起業することも視野に入ってくるでしょう。

あるいは、おすすめされた小説を読んで、つまらない。と感じた時、自分に小説は合わないな。と考えるのではなく、別のジャンルの小説の方が好みかもしれないな。と考えることができるかもしれません。

Whatツリー応用編 「あえて切り口を混ぜよ」

規模の大きいものから小さいものに絞り込む時には、同じ切り口だけでは不十分はこともあります。
例えば、会社の離職率が高いことが問題だとします。
まず、どこでどのくらい離職率が高いのかを調査するために、部署毎に切り分けを行ってみます。



このツリーとデータを照らし合わせてみると、品質管理課の離職率が高いことがわかりました。
品質管理課の中の各係の中で大きなバラツキはなかったとします。

会社の規模にもよりますが、基本的にはデータを集めるのに十分なほどに絞り込めれば問題ありません。

ただ、ここからさらに具体的に絞り込めるか追究したいと思ったら、別の切り口でアプローチする必要があります。

例えば、品質管理課をさらに年齢別、勤続年数別などで、切り分けると、品質管理課の若手の離職率が高い。という傾向が見えるかもしれません。

具体的な場所を特定するほどに、問題の真因は発見しやすくなります。
まだ真因を探るのに情報が分散してるな。と感じた場合は、さらに問題の場所を絞ってみましょう。

まとめ

・Whatツリーはロジックツリーの中でも、ある集合体を分類毎に切り分け、1段ずつ具体化する手法
・Whatツリーに必要な知識は「MECE」と「包含関係」
・Whatツリーの使い所は「問題を特定する時」と「多くの選択肢から何かを選ぶ時」
・具体的に掘り下げる時は、切り口を混ぜて良い

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