・書き方は分かったけど、実践できた試しがない
・ツリーの種類毎に使い分けができない
ロジカルシンキングの中でも、ロジックツリーを実践できるレベルで理解している方はそう多くありません。
ロジックツリーを理解することが難しい要因の最たるものが、使用目的によって形態が変わることにあります。
ロジックツリーは大きく3種類に分けられます。
・Whyツリー :原因追究
・Howツリー :解決策検討
本記事では、ロジックツリーの形態の一つ「Whyツリー」について、必要な知識と使い所を具体的に紹介します。
ロジックツリーの基礎を知りたい方は、3種のロジックツリーについて紹介している記事がありますので、こちらを参考にしてください。
【ロジックツリー基礎】3つの使い所とメリットを具体例で紹介
Whyツリーとは原因を追究するツリー
Whyツリーはロジックツリーの中でも、ある結果の原因を網羅的に考え、真因を探るツリーです。
例を見てみましょう。
こちらは私が「ダイエットに失敗した原因」をWhyツリーにしたものです。
見やすい図にするために言葉を簡略化しています。
例えば
「筋トレ」は「筋トレが十分ではない」
のようになります。
このツリーにそれぞれのカロリーデータを合わせることで、どの原因がより大きな影響を与えており、どのように解決すべきかがわかりやすくなります。
このように、原因を切り分け、その原因は?さらにその原因は?と問いを重ね、具体的で本質的な原因を探るロジックツリーをWhyツリーと言います。
Whyツリーに必要な知識は「MECE」と「因果関係」
まず前提として、全てのロジックツリーに共通して必要な知識が「MECE」です。
Whyツリーにおいて必要な考え方が「因果関係」です。
Whyツリーを左から右に展開した時、縦軸にMECE。横軸に因果関係。が成り立っているかをチェックすると良いでしょう。
MECEとは「漏れなくダブりなく」
MECEはある要素を切り分けるときに考えます。
先程の例で「ダイエットに失敗した原因」を「摂取カロリー」と「消費カロリー」に切り分けました。
どちらにも属していないものがあれば、漏れありです。
どちらにも属しているものがあれば、ダブりありです。
MECEに切り分けるコツなど、詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
ロジカルシンキング入門編 MECEを理解しよう
因果関係とは「AだからB」の関係
ロジックツリーの中でも、Whyツリーを作るために必要な知識が「因果関係」です。
因果関係はWhyツリーにおいて、抽象と具体の関係性です。
「夕食でカロリーを取りすぎている」だから「摂取カロリーが多い」
「摂取カロリーが多い」だから「ダイエットが失敗した」
このように、Whyツリーでは基本的に、常に「AだからBである」という関係性が保たれます。
因果関係において、特に注意すべきは2点
・相関関係と因果関係を履き違えないこと
因果関係を逆転しないこと
因果関係を逆転してしまうことは、実はよくあります。
例えば「今、飛ぶように売れている化粧品が話題に!」というニュースを見たとしたら「売れていること」と「話題になっていること」の間にどのような因果関係があるかわかりますか?
この言葉通りに受けるなら「売れているから話題になっている」ですよね。
ただし、これは因果関係が逆転している場合もある。ということを念頭におきましょう。
つまり、企業戦略による広告などで「話題になっているから売れている」のかもしれない。というものです。
このように、因果関係を逆に捉えてしまった場合、その企業を見習おうとしたときに、下記の2点では大きな違いが生まれます。
・「話題にさせた広告」に注目するのか
相関関係と因果関係を履き違えないこと
相関関係と因果関係を履き違えることもよくあります。
例えば、よくある例ですと「年収が高い人ほど早起きである」という相関関係があります。
この相関関係を見て
「なるほど、早起きという良い週間は生産性を高めて、年収アップに繋げてくれるんだ!」
「年収の高い人はさぞ忙しいのだろう。寝る間も惜しんで大変だ」
と考えてしまうことはありませんか?
しかし、この二つはあくまでも相関関係でしかありません。
実はここには「年齢」という要素が隠れているのです。
「年齢が高いから早起きする傾向にある」
もし、あなたが相関関係と因果関係を履き違えて「年収アップのために早起きしよう!」
と思っても、努力の方向性を間違ってしまいます。
相関関係と因果関係の見極めについて理解を深めたい方はこちらの記事を参考にしてください。
相関関係と因果関係の違いを理解して見極めよう
Whyツリーの使い所
Whyツリーは何かしらの結果の原因を探る、追究する働きがあります。
何かの原因を考えようと思った時に、当てずっぽうでも正解は引けないし、何から考え始めれば良いのかわからない。
そんな時の第一歩として、とても有効です。
Whyツリーの使い所は大きく分けるとこの2種類です。
・成功の原因を究明する
問題の原因を追究する
問題と一口に言いますが、ここでは「ありたい姿」または「あるべき姿」とのギャップのことだと認識ください。
ありたい姿とのギャップ
・このままでは、夏までに5キロ痩せる目標が達成できない。
あるべき姿とのギャップ
・自転車の鍵を無くした
既にお見せした「ダイエットに失敗した原因」のWhyツリーは、まさしく問題の原因を追究したツリーです。
他の使い方の例も見てみましょう。
例えば「毎日の筋トレが続かない」をWhyツリーにしてみます。
MECEの記事でも解説していますが、MECEに切り分ける時のコツは、抽象的に切り分けることです。
筋トレが続かない原因をMECEに切り分ける時、良い切り口が思い浮かばなかったら、時には「AとA以外」という分け方も可能です。
Whatツリーでは「A以外」というグルーピングの中身に統一性がなくなり、そこからさらに具体化するのは難しくなりますが、WhyツリーやHowツリーではそこまで影響はありません。
今回の例のように「時間がないから」と「時間はあるのに」は「AとA以外」という関係になっています。
この場合「時間があるから筋トレが続かない」とはならないため、横軸に因果関係が成立していません。
しかし、さらにその原因を深掘りすれば「時間はあるけど、疲れているから筋トレが続かない」となり、論理としては何もおかしくはありません。
つまり、Whyツリーの型に囚われすぎる必要はありません。
それよりも、原因をMECEに切り分けることの方が大切です。
成功の原因を追究する
Whyツリーは結果の原因を追究するツリーですから、もちろん成功の原因を追究する時にも役立ちます。
何故成功したのかの原因をWhyツリーで洗い出せば、再現性のある成功方法を考えることができるでしょう。
例えば「昇給に成功した」をWhyツリーにしてみます。
このように成功の原因を網羅的に考えれば、同じような環境であれば再現性のある成功法則が見つかります。
例えば、同僚も同じように成功したいと思っていた場合、このツリーと照らし合わせて、今の自分に何が足りないかを考えるのです。
・自分に苦手なことも努力でクリアすることが良いと思ってたけど、得意な人と協力関係を作ることも必要なのか
ちなみに、失敗の要因は裏を返せば成功の要因でもあるので、例えばダイエットを失敗した時と、ダイエットを成功した時のWhyツリーは同じものができてもおかしくはありません。
ロジックツリーはそもそも問題解決に使うことが多いため、失敗の原因を追究することが必然的に多くなります。
しかし、Whyツリーはあらゆる「結果」に対しての原因、理由を問う考え方であることは認識しましょう。
真因に必要な要素は「最も影響度が高いこと」「十分に具体的であること」
Whyツリーは原因を深掘りし、真因を探るための考え方です。
しかし、結果というのは、あらゆる原因が組み合わさって引き起こされるものです。
つまり、真因と呼んでいるものも、原因の一つでしかありません。
真因が他の原因と違う部分は2つあります。
・解決策を考える上で十分に具体的になっている
結果に対して最も大きな影響を与えている
「パレートの法則」という言葉をご存知でしょうか?
これは経済用語の一つで「2:8の法則」とも呼ばれています。
例を挙げると、顧客全体のうち2割のお得意様が売り上げの8割をあげている。
のように、2割程度の要因が結果の大部分に影響している。という考え方です。
厳密には「2:8」でなくとも、あらゆる原因を考える上で。この考え方は重要です。
つまり、真因とは結果に最も影響を与える2割の要因であると言えます。
そうは言ったものの、Whyツリーで考えた結果が、最も大きな要因であるかどうかを裏付けることは難しいです。
何故なら、相関関係と因果関係の見極めの記事でも書いたように、介入研究が必要になるからです。
なので、重要なことは納得感のある仮説があるかどうかです。
納得感のある仮説に必要なことは、客観的事実です。
基本的に数字は嘘をつかないので、難しい時は数字で判断できると良いでしょう。
筋トレで言えば、毎日2時間はゲームがしたいから、筋トレをするには20時には帰宅している必要がある。現状は21時帰宅だ。
解決策を考える上で十分に具体的になっている
そもそも、原因を追究する目的は、何かしらのアクションを起こすためです。
失敗の原因を追究したら、改善や再発防止をします。
成功の原因を追究したら、更なる成功を求めたり、真似をします。
そのためには、原因が十分に具体的になっている必要があるのです。
例えば、筋トレをする時間がない原因が「残業で帰りが遅い」という原因で止まってしまうと、早く帰れば時間が確保できることはわかりますが、どうやって早く帰るかの解決策がわかりません。
さらに深掘りすることで「頼まれた仕事も必要に応じて断ろう」「結果で頑張りを証明しよう」のような一段階具体的な解決策が思い浮かびます。
これをすれば効果がありそうだ。という解決策が思いつくまで原因を深堀りする必要があります。
まとめ
・Whyツリーに必要な知識は「MECE」と「因果関係」
・Whyツリーの使い所は「問題の原因を究明する時」と「成功の原因を追究する時」
・真因に必要な要素は「最も影響度が高いこと」「十分に具体的であること」
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